命の認識

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 東京大学総合研究博物館でやっている。監修は解剖学の遠藤秀紀教授。
 会場にはところ狭しと動物の骨が並べられている。しかし、動物の実際の形に組み立てられた骨格標本はなく、大きいものではミンククジラから小さいタヌキくらいまで整理されて並んでいる。どの動物かとか、どの部分の骨だとかいう表示はなくって、ただ骨が並んでいるんだけど、その数に圧倒される。いろんな動物が一気に並べられているから、大きさや形を比べたりして時間を過ごしている。頭蓋骨も大きかったり小さかったり、一つ一つに命があったのです。それらを感覚的に捉えられる良い展示でした。
 入り口に死産したアジアゾウの赤ちゃんがいた。腐敗しない透明な液体に浮いているけど、頭にもふさふさ可愛い毛が生えて、薄っすら目も見えそうで、お腹には胎盤がまだついていた。最初はかわいそうだなって思ったけど、次第に美しいものだと考えるようになった。だからカメラに納めた。
 今日は特別な日で、解剖の見学ができると家人から聞いていた。今日は余裕をもって出かけたので学食に行ってD定食を食べたり、安田講堂に行ったりのんびりと時間を過ごしていた。今回の見学会を企画していただいた先生、学生の皆さんには悪いけど、解剖なんて見たい人がそんなに多くいるわけないと思っていた。会場には時間が近づくと多くの人で溢れていたのに驚いた。こんなに関心があるんだ。
 解剖会場は3箇所でハシビロコウとペンギン、コアラ、そして鳥の手羽先。解剖作業はなかったけど遺体を前にいろいろお話を頂いた。やはり遺体なので講義室は特殊な匂いになっていましたが、これは動物の食性によるものでペンギンは魚臭く、コアラは草の匂いがすると言っていました。いろんな匂いが混ざり合ってわからなかったですけど。貴重なものを見せていただきました。
 この展示は3月28日までやっているようです。ぜひ観にいってください。



東京大学総合研究博物館 The University Museum, The University of Tokyo